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3Dプリンターで24分の1の鉄道模型 元地域おこし協力隊員が起業へ

毎日新聞 2024年9月6日 9時15分

 群馬県安中市の地域おこし協力隊員として同市の鉄道テーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」で活動してきた能代紘平さん(33)が3年間の任期を終え、同市内で鉄道関連の新たな事業を起こす。3Dプリンターを駆使して24分の1の精巧な鉄道模型を製作し、販売するという。

 能代さんは高崎市出身。大学卒業後、静岡県の大手自動車メーカーで7年間、自動車内装部品の設計を手がけた。子どもの頃から鉄道好きで、碓氷峠鉄道文化むらで活動する協力隊員の募集を知り応募。2021年9月に着任し、鉄道イベント企画などを行ってきた。

 事業の核の一つである鉄道模型の製作は、自動車メーカーに勤務していた当時、3DのCAD(コンピューター利用設計システム)を使い内装部品の設計を行っていた経験を生かしている。製作した長さ約80センチの電気機関車「EF63」は、協力隊員の活動時に碓氷峠鉄道文化むらに展示されている車両を計測・撮影し3Dデータ化。3Dプリンターでパーツを一つずつ作った。車両の外観だけでなく内部の部品も精密に再現している。

 能代さんは「国内では150分の1や80分の1の模型が主流で、24分の1のサイズは珍しい。鉄道ファンを納得させるモデルを作りたい」と意気込む。

 本格的な事業開始に向け新会社「モデルカプラー合同会社」を設立。社名は模型を表す「モデル」と連結器の「カプラー」を組み合わせた。鉄道車両や碓氷峠の鉄道遺産、廃線跡などを活用したイベント、安中市への移住・定住、関係人口創出なども手がけていく。

 能代さんは「当面は実店舗を持たず委託販売やネットショップなどで販売し、いずれは横川地区に店舗を構えたい。社名は模型で人を結びつけるという意味を込めた。人のつながりを大切にしていきたい」と話している。【庄司哲也】

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