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西山白玲先勝 初の「女性棋士」へ好スタート 将棋棋士編入試験

毎日新聞 2024年9月10日 18時5分

 将棋の女流棋士、西山朋佳白玲(29)の棋士編入試験第1局が10日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、西山白玲が高橋佑二郎四段(25)に132手で勝ち、初の「女性棋士」誕生に向けて好スタートを切った。現行制度で編入試験に臨むのは5人目で、女性は2022年の福間香奈清麗(32)に次いで2人目。西山白玲は全5局の試験で3勝を挙げれば合格となる。第2局は10月2日に将棋会館で行われ、山川泰熙四段(26)が試験官を務める。

 高橋四段は24年4月にプロ入りした新人棋士。振り駒で先手番となった高橋四段の居飛車に、振り飛車を得意とする西山白玲が三間飛車で対抗し、守りを固め合うじっくりした展開となった。終盤、高橋四段が端攻めを決行し、西山白玲も強気に応じて際どい戦いとなったが、西山白玲の読みが僅かに上回った。

 終局後、西山白玲は「ずっと気が抜けない難しい将棋だった。少しずつ苦しさを意識していて、幸運な面も大きかった。(試験官の)5人はそれぞれ全然違った武器で四段になったので、またここから一局一局準備して全力を尽くせるように過ごすしかない」と気を引き締めた。高橋四段は「自分の持っているものを全て出し切って指した。西山白玲は終盤の切れ味もそうだが、中盤の押し引きにも強さを感じた」とたたえた。

 女性に将棋を普及させようと1974年に創設された「女流棋士」制度は、条件も参加できる棋戦も「棋士」とは異なる。これまで20人の女性がプロ養成機関の奨励会に入って棋士を目指したが、プロ入りの条件となる四段に到達した人はいなかった。西山白玲も奨励会で三段まで到達したが、棋士に届かず21年3月で退会。女流棋士になって活躍するとともに、編入試験受験に必要な好成績を上げて、再び棋士になるチャンスをつかんだ。【丸山進】

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