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地域活性化へ若者向け滞在拠点整備 空き家改装へCF 奈良・山添

毎日新聞 2024年9月13日 7時45分

 村の活性化の第一歩は、若者向けの宿の整備から――。奈良県山添村のNPO法人「やまぞーえ」が、空き家を改装し宿に再生する取り組みを新たに始めた。村で活動する学生や社会人が増えているのに、手ごろな宿がない状況を踏まえ、「地域活性化を後押ししたい」と理事長の下谷昇さん(46)らが一念発起した。改装費に充てる支援金200万円をクラウドファンディング(CF)で募っている。期限は10月5日。

 県北東部の山添村は自然豊かなコメや大和茶などの産地で知られる。人口約3000人の過半数が65歳以上で、社会的共同生活の維持が難しい限界集落となっている。しかし、数年前から環境デザインを学ぶ昭和女子大(東京)の学生らが村の魅力を発信するプロジェクトを始めたことに加え、農業や観光などの関係者による地域づくりの取り組みが進み、村外出身者と地元住民が交流するなど新たな動きもみられるという。

 泊まり込んで活動する人も増えているが、学生らが泊まりやすい宿が近くになく、片道約40分の奈良市中心部などにやむなく泊まる事例も目立ち「連日で活動しづらい」などの声も出始めた。

 「やまぞーえ」は教育や研究機関、障害福祉関係の支援機関などと連携し、村の内外を問わず多様な人が活躍する地域づくりを推進する事業を目指しており、下谷さんは「村に宿泊施設ができれば、村にいて活動できる時間が増え、地域づくりが加速する」と確信。今回改装する築37年の日本家屋は、村外に転出した持ち主から有料で借りており「地域のために」と活用を託された。気軽に泊まれるゲストハウスに改装し、村の訪問者の滞在拠点にする。

 物置だった天井裏を三つの宿泊室に改装し、共用のキッチンと階段を設置する。自炊しながらの宿泊を想定している。それほど古い建物でないため、居間部分をワークスペースにするなど手入れ不要な場所はそのまま使う。

 来春に完成予定。年間延べ1000人程度の宿泊者を見込む。下谷さんは「村に人が集まり始めており、宿が完成すればさらなる活気につながるはずだ」と支援を求めている。CFの返礼品は地元産のコメや大和茶、しょうゆなど、自然豊かな村の魅力が詰まった十数種類。詳細はCFのホームページ(https://readyfor.jp/projects/yamazoe2024)まで。【山口起儀】

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