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石川・見附島の「中秋の名月」 「日本百名月」認定継続へ

毎日新聞 2024年9月18日 21時3分

 能登半島地震で崩落被害が出た石川県珠洲市宝立町鵜飼の見附島(みつけじま)でも17日、今年の「中秋の名月」が鑑賞された。地元では観月の名所として長く愛されてきた。2021年に「日本百名月」に選んだ認定団体は、形を大きく変えたが価値を失ったわけではないと、認定を継続する姿勢だ。

 地震では、半島の北側の外浦海岸は隆起、南側の内浦海岸は沈降が問題となっている。能登半島国定公園の中核地の一つである見附島は内浦海岸にあり、徒歩で渡れる踏み石の列は多くが海中に没した形となった。また、「軍艦島」と呼ばれる勇壮な形状が自慢だったが、周囲が崩れて縮小し、突き進む船首に当たる部分を失った。

 17日夕、5年ぶりに「中秋の名月」の撮影に来た男性県職員(58)は「全く形が違うね」と悲しげにポツリ語った。近くの能登町小木で育ち、幼少期から何度も来た場所。「能登のシンボルだった。『映(ば)える』スポットだけに悲しい」と語りつつ、ねぐらに戻る鳥が次々と舞い降りる様子を見て「生き物の営みは戻ってきた」と、うなずいていた。

 日本百名月は、一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローなどが認定作業を実施。16年に富山県黒部市で開かれた第1回全国名月サミットで初めて認定地が出た。見附島は、平安時代初期の弘法大師にまつわる伝承を持ち、付近は「恋人たちの聖地」として人気も高いとして追加認定された。同法人の担当者は「認定変更の考えはありません」としている。

 日本百名月の地には北陸3県では他に、富山県黒部市の宇奈月(うなづき)温泉▽同県射水市の海王丸パーク▽金沢市の金沢城▽福井県坂井市の県総合グリーンセンター▽同県敦賀市の気比神宮--が選ばれている。【竹中拓実】

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