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「また避難生活に…」 豪雨から1週間、地震の傷癒えぬ能登半島

毎日新聞 2024年9月28日 11時24分

 石川県の能登半島北部に甚大な被害をもたらした豪雨から、28日で1週間が過ぎた。これまでに10人の死亡が確認されたほか、輪島市の海岸で1人の遺体が見つかっており、県警などは豪雨との関連を調べている。元日の地震の傷がまだ癒えない中、この日も朝から行方不明者らの手がかりを捜す消防や警察の活動が続いた。

 県によると、行方不明者は珠洲(すず)市と能登町で計2人いる。

 輪島市中心部から東約1・5キロに位置する久手川(ふてがわ)町では、氾濫した塚田川の周辺で複数の家が流された。

 能登豪雨では行方不明者とは別に、中学3年の喜三(きそ)翼音(はのん)さん(14)ら市内の4人と連絡が取れず、安否不明となっている。

 28日も朝から捜索活動が始まった。海岸には無数の流木が山積みで、濁流にのまれた住宅など氾濫の爪痕が残る。

 捜索が続く場所に母親と訪れた中学1年の女子生徒(12)は翼音さんと同じ地区に住み、小さい頃から一緒に遊んできた。「翼音ちゃん、どこいったんだろう。早く見つかってほしい」。うつむきながら、そう話した。

 一方、輪島市稲屋(とうや)町の仮設住宅「稲屋町第1団地」は床下浸水の被害を受け、この日朝から住民たちが周囲の泥をかき出したり、汚れていた寝具など家財道具を搬出したりしていた。

 この団地に住む前田寿美(ひさみ)さん(62)は、倉庫に収納していた衣類が泥につかった。服を水で洗ったが汚れがひどく「ダメだ」とつぶやいた。

 「もっとひどい被害を受けた人もいるから弱音は言えない。でも、また避難生活になるのか」

 能登半島の最北端に位置する珠洲市の日本海に面した大谷地区。市立大谷小中学校に開設された避難所で過ごしている住民が困っているのは、ほこりだ。28日もモップで床を掃除する人の姿があった。

 大谷小中学校の避難所には、元日の地震で避難していた11人が生活していた。だが、豪雨の影響で大谷地区では大規模な土砂崩れで道路がふさがり、浄水場に土砂が流入し断水が続く。

 避難所には土砂が流れ込み、被災者らが数日かけて取り除いた。だが、今度は乾燥したほこりが目立つようになった。

 豪雨直後に避難者は約70人に増えた。現在も31人が避難生活を強いられている。降り積もったほこりのため、生活スペースが確保しづらいのが課題だ。

 目や呼吸器に異常を訴える避難者もいる。区長の丸山忠次さん(69)は「飲料水はあるが、トイレなどに使う生活用水がない。砂ぼこりのせいで、いつも窓を閉めている。避難所内は落ち着いてきたが、通常の生活に戻るには時間がかかる」と語った。【島袋太輔、岩本一希、井村陸】

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