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腹が減るとおなかが鳴るのはなぜ? 内容物によって「音色」も変化

毎日新聞 2024年10月2日 11時0分

 残暑が過ぎ、ようやく秋めいてきた。秋といえば、食欲がかき立てられる季節。おなかがすくと不意に鳴る「ぐぅー」という音で、恥ずかしい経験をした人も少なくないのでは。一体、体の中で何が起きているのだろうか。

「楽器」に当たる小腸

 「次の食事の準備をするための、胃腸の健康な動きが原因です」。日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックの院長で、消化器内科が専門の石岡充彬さんはこう説明する。消化や吸収を担う胃腸では「蠕動(ぜんどう)運動」と呼ばれる収縮が常に起きている。この動きによって胃にためられた食べ物が腸へ運ばれ、最終的に便として排出される。

 蠕動運動は、胃と小腸の上部がほとんど空になる空腹時に最も強くなる。次の食事に備えた「仕上げの掃除」のような役割だ。この時、6メートルを超える管のような小腸が波打つように動いて、残ったガスや液体が下流に運ばれる際に大きな音が鳴るという。

 つまり、音を奏でる「楽器」に当たるのは小腸だ。また、その「音色」は中に残った物の形状や量で変化する。例えば、物を十分かまずに食べたり、炭酸飲料をたくさん飲んだりすると、腸がガスで張り響きやすくなるため、大きく高い音が出やすい。

便秘の人は音が出にくい

 胃にためられた食べ物は遅くとも6~7時間で小腸へ運ばれるが、消化や吸収の速度は個人差が大きく、空腹になるタイミングは異なる。音が出やすい人は蠕動運動が活発で快便や下痢の人が当てはまる。一方、便秘の場合は食事から排便まで100時間もかかる人もいて、音はほとんど聞こえないという。

 血便や腹痛を伴う場合は、疾病が潜んでいる可能性があるため例外だが、一般におなかが減った時に音が鳴るのは「健康の証し」だ。

 だが、予測不能なこの音に悩まされている人も少なくない。石岡さんは「おなかが鳴るのは自然なことで、止めることはできません」としつつ、音を抑える方法の一つとして食事を複数回に分けて少量ずつ取り、空腹になる時間を減らすことを挙げる。

 「時間に応じて食事を取るとかえって胃腸に負担がかかることもある。おなかの音に耳を傾けることも大切です」【高橋由衣】

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