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「勝手口の窓」が危ない 在宅でも侵入する凶悪強盗、防犯のポイント

毎日新聞 2024年10月4日 15時22分

 東京都や埼玉県で強盗事件が相次いでいる。住人が在宅中でも窓を割るなどして侵入し、緊縛するといった荒っぽい手口が目立つ。被害に遭わないためにはどうすればいいのか。専門家に聞いた。

「トクリュウ」による犯行の可能性

 埼玉県所沢市の住宅に10月1日未明、男性4人が勝手口の窓ガラスを割って侵入し、80代の住人夫婦を縛って現金約8万円などを奪って逃げた。埼玉県警は現場周辺で男性3人を強盗致傷容疑で逮捕。3人は事件前に面識がなく、それぞれ闇バイトに応募したと説明しているという。前日の9月30日には東京都国分寺市で住宅の勝手口の窓ガラスが割られ、住人の60代女性が縛られる強盗事件が発生。

 県警は、警視庁と共同捜査を始め、住宅への侵入方法や粘着テープの使用などの共通点から、同一の指示役がSNS(ネット交流サービス)で実行役を闇バイトで募るなど緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による可能性があるとみている。

「郊外の古い戸建て住宅」が狙われる?

 関東地方では8月以降、住宅や店舗を狙った強盗が、少なくとも7件起きている。

 防犯アドバイザーの京師美佳さんは、最近被害が出た地域に限らず、全国的に対策を取る必要があると訴える。

 「実行役を闇バイトで雇っての犯行なら、指示役が逮捕されない限り、全国で犯行が繰り返される恐れがあります」

 どんな住宅が危ないのか。「郊外の古い戸建て住宅が狙われているように見受けられます。家の中に生活費を現金で保管する高齢者世帯が住んでいる可能性が高いと考えるからではないでしょうか」と分析する。

むしろ危ない「網入りガラス」

 所沢、国分寺市で起きた連続強盗事件では、勝手口の窓ガラスを割って侵入する手口が共通している。京師さんは「勝手口や裏手のトイレなど、周りから見えにくい死角の窓は狙われやすい傾向があります」と指摘する。

 県警と警視庁によると、所沢、国分寺市の事件ではともに勝手口の窓は網入りガラスだった。

 京師さんは「火災や地震時にガラスが飛び散らない『防災効果』はありますが、割れるときの音がたちにくく、網も穴が開いたように破れるため防犯には役立ちません」と指摘。こうした勝手口や裏手の窓には、複数の補助錠をつけたり、「防犯フィルム」をはったりすると有効だという。

 ただし、防犯フィルムについては「攻撃に5分以上耐え得る水準を確保するには、厚さが350マイクロメートル(0・35ミリメートル)以上のフィルムが望ましいです」と助言する。日本ウインドウ・フィルム工業会は、警察庁や民間団体などによる「官民合同会議」が耐久試験を通じて「防犯性能が高い建物部品」と認める際の前提条件の一つにフィルムの厚さが350マイクロ以上であることを挙げている。

 京師さんは「対策するうえではまず『犯人が嫌う4原則』を心がけて」とアドバイスする。4原則とは「音」「光」「時間」「人の目」。例えば、ガラスを破ると鳴るアラームを設置▽人が近づくとセンサーで検知して光るライトを設置▽窓やドアに補助錠を複数つけて侵入の時間稼ぎをする▽防犯カメラをつけて人の目を意識させる――といった具合だ。

 それでも、強盗犯が侵入してきたらどうすればいいか。京師さんは「可能であれば外に逃げて助けを求める。それが無理ならトイレや寝室といった施錠できる部屋に逃げ、110番通報を。対面してしまったら、あくまで命を優先してください」と話している。【岡田英】

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