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NHK、ネットのみの受信料は月1100円に 中期経営計画修正案

毎日新聞 2024年10月8日 18時4分

 NHKは8日、番組のインターネット配信の必須業務化に伴い、2024~26年度の中期経営計画の修正案を発表した。テレビを持たずにネット配信のみを利用する場合の受信料について、地上契約と同額の月1100円にすることなどが盛り込まれた。最高意思決定機関の経営委員会が同日、執行部の案について協議した。11月上旬まで視聴者などから意見募集し、経営委で議決する見通し。

 5月に成立した改正放送法で、NHKのネット業務は、放送と同じ必須業務に格上げされた。原則全ての放送番組を同じ内容で配信することになり、テレビを持たずにネットで見たい人も受信料を払えば利用できる。改正法に基づく新しいネットサービスは、25年10月の法施行とともに始まる。同局は、ネットのみの新たな受信契約件数を、25年度後期が約1万2000件、26年度が約2万4000件として、ネットのみの受信料収入を25年度後期は1億円、26年度は2億円規模と見込んでいると説明した。

 NHKは、権利処理や費用の問題で衛星放送の番組を当面配信できないことなどから、ネット受信料は地上契約と同水準にするとの考えを示していた。スマートフォンなどを持つだけでは払う必要はない。スマホなどから専用のウェブページかアプリにアクセスして視聴する際、利用の意向を確認され、同意すると契約義務が発生。その後、アカウント登録や契約確認といった手順を踏む。ネットだけの契約形態は新たに設けず、地上契約として扱う。既にテレビを持ち、受信料を払っている人は追加負担なく利用できる。

 来年10月のサービス開始後は、番組の同時・見逃し配信の他、新設された文字ニュースなどの「番組関連情報」を配信する。番組関連情報は、放送番組と密接に関連する情報に限定し、報道・防災、大型スポーツ大会、教育などの分野で提供。災害などの緊急情報は引き続き誰でも無料で見られる。経営委は8日、番組関連情報の内容や実施方法を定めた業務規定を議決した。NHKは後日、総務相に届け出る。

 また、中期経営計画の修正案では、ラジオ放送について、AM1波とFM1波に削減するとしていた時期を、26年3月末にすることも記された。現在、AMの「ラジオ第2」で放送している語学などの教育番組は原則FMで放送する。

 ネット業務の必須化に伴い、年200億円としていた費用上限は撤廃される。NHKは、必須化により放送と配信が一体化する部分が多くなるため、ネット業務全体の費用を明確に区分して算定するのは難しいとしてネット費総額は示さなかった。同局はこれまで「いたずらな費用拡大は想定していない」と説明しており、8日も担当者は「今後、どう説明責任を果たすかは考えたい」と述べた。

 修正案では、25、26年度の事業収入と事業支出ともに、各年度100億円ずつ増加することも記された。営業努力によって受信料収入など事業収入の増額を見込み、物価高対応などに充てるとした。【井上知大、諸隈美紗稀】

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