視覚が不自由な人は基準に基づいて身体障害者手帳が交付されるのに、片目だけ失った人は現行制度では障害者として扱われない。片目がない人も義眼など高価な補装具が必要だが、現状では公的支援は不十分だ。
堺市南区の安達由芽ちゃん(3)は1歳の時、網膜に生じる小児がん・網膜芽細胞腫と診断された。抗がん剤治療を始め、髪の毛が抜けるなどの副作用に耐えながら小さい体で闘病生活を続けた。半年ほどたったころ、医師からこのままでは転移の危険性があると指摘された。幼子の命を守るために告げられたのが、右目の摘出だった。
1歳の冬に由芽ちゃんは右目を摘出し、義眼をはめるための手術も施した。成長期の子どもが義眼を付けないと、顔がゆがむといったリスクがあるとされる。成長に応じて義眼を作り替える必要があり、費用は15万円ほどかかる。現状では公的補助は限られている。
同じ悩みを持つ当事者らが政治や行政に働きかけたこともあり、厚生労働省は実態調査を進めている。【芝村侑美】