天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会が30日、東京・元赤坂の赤坂御苑で始まった。今回はパリ・オリンピックの女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花さんら、オリンピックとパラリンピックのメダリストが多く招かれており、両陛下や皇族方は招待者とにこやかに歓談された。両陛下の長女愛子さまは今春に続いて、2回目の園遊会参加となった。
園遊会は春と秋の年2回実施してきたが、2019年は令和への代替わりの行事が多数あったことから開催されなかった。また、20年春~22年秋は、新型コロナウイルス感染症の影響で取りやめとなった。23年春から再開したが、食事とアルコールの提供は制限を設けた。今回は、人気のある、宮内庁御料牧場(栃木県)で飼育している羊のジンギスカンと焼き鳥を6年ぶりに提供するが、飲み物はお茶などのソフトドリンクに限定された。
園遊会は1880(明治13)年11月に始まった観菊会と、翌年4月からの観桜会に起源を持つ。当初は幕末に結ばれた不平等条約の改正などを目指し、明治天皇が主催する英国式のガーデンパーティーに日本駐在の外交官らを招待する場として始まった。戦争によって観菊会は1936年、観桜会は37年を最後に中断した。名称を園遊会と変えて再開したのは53年11月5日で、春と秋の年2回開催が恒例となったのは65年から。現在は各界の功労者を招いて両陛下らと歓談することを目的としている。【高島博之】