秋の園遊会が30日、赤坂御苑(東京都港区)で開かれ、天皇、皇后両陛下が招待者と懇談された。今回はパリ・オリンピック、パラリンピックのメダリストが多く招かれており、スポーツ談議で盛り上がっていた。主なやりとりは次の通り。
■建築家の隈研吾さん
隈さん:(福島県)浪江町の復興、新しい街をつくることをやっておりまして、いよいよこれから始まるというところでございます
皇后雅子さま:みなさん大変な思いをなさって
隈さん:自分の街をみなさんすごく愛してられるので、元に戻したいという気持ちが痛いほどわかります
雅子さま:いい街ができるといいですね
天皇陛下:真備のふれあい公園も
(※両陛下は2024年5月、西日本豪雨の復興状況視察のため、岡山県倉敷市真備町地区のまびふれあい公園を訪問)
隈さん:真備、倉敷の方たちに愛していただける公園になって、とてもうれしく感じております
陛下:竹をずいぶん使って
隈さん:地元の竹をたくさん使いました。そういうのも地元のみなさんに愛されている一つの理由かなと思います
雅子さま:技術が難しいとおっしゃいましたよね。曲線がとても美しい
隈さん:三次元に曲げているものですから、ちょっとびっくりするような技術です
陛下:職人の技がこれからも継承されていけばいいですね
■陸上女子やり投げ金メダリスト、北口榛花さん
雅子さま:1投目というのは難しいものですね
北口さん:順番が早ければ早いほど試合の空気感がオリンピックの決勝では変わるので、空気をつかんでいくのに少し時間がかかります。1投目でどれだけ投げられるかで、あとの選手のプレッシャーも変わってくるので大事なポイントではあります
陛下:65メートル、ここからだと…(※後ろにある池の方を振り向く)
雅子さま:どれぐらいまで
北口さん:そうですね、池は越えられると思います
陛下:チェコ流の投げ方っていうのもあるわけですか
北口さん:やり投げは力強さが必要だと思われているんですけれども、もちろんパワーも大事なんですけど、柔軟性やしなやかさも大事にするのがチェコ流だと思っています
■柔道男子66キロ級2連覇、阿部一二三さん
阿部さん:無事、2連覇できてよかったです
陛下:妹さんも
雅子さま:頑張られましたね
阿部さん:泣いていたんですけど、そういう姿もさらせるというか、包み隠さず出せる妹は気持ちがすごい強いのかなっていうのは僕も思いました
雅子さま:きょうだいの絆もとても強い
阿部さん:たまに一緒に練習する時もあるので、1人よりも2人の方がプレッシャーがあるんですけど、喜びは何倍も大きいと僕自身は思うので、2人で金メダルを目指したい
陛下:袖釣り込み腰ですか
阿部さん:はい。オリンピックの決勝戦も袖釣り込み腰で、あの技が一番相手を投げられる。海外の選手にも効くのかなっていうのもある。得意技です
■体操男子団体総合で金メダリストの岡慎之助さん、杉野正尭さん、谷川航さん、橋本大輝さん
陛下:テレビで拝見していました。逆転で
橋本さん:1番目の杉野選手がよい演技をしてくれたおかげで流れに乗って、岡、橋本と、最後、大逆転につなげられたのかなって思います
雅子さま:チームワークを大事にされて。仲が良いですか
(※選手一同がうなずく)
陛下:素晴らしいと思います
杉野さん:チーム戦は一人一人の技術というより、つなげていくことが大事。信頼できるチームワークが今回の金メダルにつながったと感じています
雅子さま:怖いって思われることはあるのですか
一同:あります
杉野さん:怖いと思うことが大半。練習で恐怖、不安を打ち消す。そういう作業を毎日練習で行いながら、試合本番に臨むことが体操競技の魅力でもあると感じています。試合当日が一番、恐怖と不安があります
雅子さま:みなさん、プレッシャーは。震えてくるとか
岡さん:緊張も震えもありますけど、杉野さんが言ったように、練習を積み重ねていたら、そんなにプレッシャーは自分は感じないので。むしろプレッシャーがかかっているほうが、自分は力が出る
陛下:楽しまれたと
岡さん:すごい充実していました
■スケートボード女子ストリート金メダリストの吉沢恋さん、男子ストリートで2大会連覇の堀米雄斗さん
陛下:これまでもいろいろと、大変なこともあったでしょうね
雅子さま:スケートボードはいくつのときから
吉沢さん:7歳ぐらいの小2ぐらいから始めました
陛下:何かきっかけがありましたか
吉沢さん:家の近くにスケートボードのパークがあって。お兄ちゃんが最初に始めていたんですけど、その流れで
雅子さま:最初から楽しかったですか
吉沢さん:外国人の方のほうが多かったので戸惑ったりとか、(言葉が)通じなかったりすることもあったんですけど、みなさんが助けてくれて、すごく良い思い出になったと思います
陛下:スケートボードの競技を拝見していると、みなさん外国の選手とも仲がいいですね
堀米さん:大会の時はライバルではあるんですけど、普段一緒に滑っている仲間たちでもあるので、大会中、新しい技を見るとすごいなと思うし、かっこいいなと思う。お互いみんなリスペクトしている。そういったカルチャーに僕はすごいひかれたので、新しいスポーツでもあるので、もっと世界に広げていきたいなって
雅子さま:私、子どものころにスケートボードを滑るだけは滑ったことがあるんです。友達が持っていて、家の前が坂になっていたので。何回か楽しくて
吉沢さん:じゃあ一緒に滑れます(笑い)
雅子さま:パークとかストリートはとても……
吉沢さん:機会があれば
雅子さま:ありがとうございます
■車いすテニス女子シングルス金メダリストの上地結衣さん、上地さんと女子ダブルスで金メダルの田中愛美さん
陛下:ご一緒にはどのくらいやってらっしゃるんですか
田中さん:普段はほとんど一緒に練習する機会はなくて。合わせるのは短かったんです
上地さん:事前合宿は南フランスの方で約1週間。合宿期間が大事な時期だったかなと思います。現地の方々にもよくしていただきました。たくさんの方の声援の後押しのおかげです
陛下:車椅子のいろいろ調整とかも
上地さん:約1年半前から今プレー中に乗っている車椅子の部分は変更を始めまして。慣れるまでに本来であれば時間がかかる。それでも挑戦したいっていう気持ちがありました
田中さん:私も他の選手とは材質の違った車椅子を使用していて。最後まで集中力を切らさずに続けられたのは、日本の技術にも助けていただいたのかなって思います