群馬県内は10月も高温が続き、月平均気温は、13の観測点すべてで10月の過去最高を更新した。気温が下がらないため、紅葉の色づきは遅れ、観光関係者は気をもんでいる。
1日、伊香保温泉(渋川市)の名所、河鹿(かじか)橋のモミジやカエデは青々としたままだった。秋恒例の「紅葉ライトアップ」が始まったものの、木々は色づき始めたばかりだ。渋川伊香保温泉観光協会の担当者は「暑かった昨年は、赤々となる前に、葉が枯れて落ちてしまった。今夏も暑く、同じ状況になるのだろうか」と危惧する。
温泉や谷川岳で知られるみなかみ町の観光協会は「紅葉は例年から10日遅れ」とみている。10月末にようやく朝の気温が10度以下となり、谷川岳ロープウェイ下や一ノ倉沢が見ごろを迎えた。担当者は「紅葉は山の上から下へ徐々に色づくが、今年は一気に始まった印象」と話す。
気象庁によると、月平均気温は県内13すべての観測点で平年より3・3~2・2度高く、10月の統計史上1位の記録を更新した。
中でも田代(嬬恋村)は7月から連続4カ月の1位に。10月2日には最高気温が25・1度まで上がり、1977年の観測開始以来最も遅い「夏日」を記録した。
みなかみも1、2日にそれぞれ28・2度まで上がり、10月の最高気温を更新。最低気温も高く、4日は18・3度で、10月の最低気温記録の中で最も高くなった。
前橋の月平均気温は平年を2・7度上回る19・8度。これまで1位だった19年を0・9度上回った。
気象庁によると、偏西風が平年より北に偏って流れ、日本付近は暖かい空気に覆われた。また、日本の東で高気圧が強く南から暖かい空気が流れこんで全国的に気温が高くなった。気温の高い状態は全国で7月から続く。【増田勝彦、庄司哲也】