オフィスチェアの希望小売価格を店頭などで値下げしないよう小売業者に強要したとして、公正取引委員会は5日までに、家具卸最大手の「関家具」(福岡県大川市)の独占禁止法違反を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出す方針を固めた。すでに同社へ通知した。関係者への取材で判明した。
独禁法は小売業者に自由に販売価格を決めさせない行為を「再販売価格の拘束」として禁じている。
関係者によると、関家具は総代理店を務める台湾のオフィスチェアブランド「エルゴヒューマン」を日本国内の小売業者に出荷。遅くとも2020年2月以降、小売業者がオンラインや実店舗で販売する際、関家具が示す希望小売価格よりも値下げをしないよう強要していた。従わない場合には出荷価格の引き上げを示唆することもあった。
エルゴヒューマンは人気が根強く、国内では関家具の他に仕入れルートがないため、小売業者は価格拘束に従わざるを得なかったとみられる。一方、販売価格が10万円を超える品が多いこともあり、値下げ競争を回避できると歓迎していた小売業者も一部でいたという。【渡辺暢】