海難救助にあたる海上保安庁の機動救難士に1日、関西空港海上保安航空基地の森口允太さん(28)が新たに任命された。森口さんは証しとなるオレンジ色の機動救難服を初めて着用し、「救助される人に安心してもらえる機動救難士になりたい」と意気込みを語った。
機動救難士は、海難事故の負傷者や海上の漂流者らをヘリコプターから降下して救助する。森口さんはヘリからの降下やつり上げ、救急処置、潜水などの訓練を6カ月半にわたって続けた。10月には和歌山県から大阪府泉南市までの100キロを走ったり歩いたりする海保伝統の「100キロ行軍」に挑み、制限時間の24時間以内に踏破した。
森口さんは、東日本大震災で海上保安官が被災者を救助した活動を知り、目指すようになった。2015年に入庁し、潜水士を6年経験した。
この日、先輩や家族が見守る中、訓練の修了証を受け取り、「自分自身の行動に責任を持ち、不撓(ふとう)不屈の精神で困難も乗り越え、何ごとにもあきらめずに、過酷な場面でも苦しい表情を見せない心の強い機動救難士になる」と誓いの言葉を述べた。その後、高さ11・5メートルからロープを使って降下する訓練に臨んだ。森口さんは「100キロ行軍は想像以上に厳しく、足が痛くなった。自分の限界を知ることができ、今後、現場での長時間の活動や困難な救助に直面した時に力になると思う。オレンジ色の服を着て、期待とやる気と少しの不安がある」と話した。
機動救難士は全国10カ所の海保の航空基地などに90人配置され、24時間態勢で海難救助に対応する。関空基地は年間60~70回出動している。【中村宰和】