博多湾に近い福岡市東区の香椎浜や多々良(たたら)川下流域に、今年も「冬の使者」クロツラヘラサギが飛来し、純白の美しい翼を見せている。
絶滅危惧種のトキ科の渡り鳥で、全長約75センチ。東アジアのみに生息し、朝鮮半島北西部や中国で繁殖する。名前の通りの黒い顔と、細長いヘラのようなクチバシが特徴で、頭を左右に振りながらボラやハゼなどの魚類、カニやエビを捕食する。
保護活動をする環境NPO「ふくおか湿地保全研究会」の服部卓朗代表は「10月12日に最初の7羽を確認したが、その後は気温が高いせいか例年になく数が増えない状態が続いた。11月に入って14羽が飛来し、ようやく本格的な渡りのシーズンに入った」と話す。
この時期に飛来した個体は例年、しばらく羽を休めた後、さらに南の熊本や鹿児島の越冬地を目指す。12月には博多湾で越冬する群れもそろうという。【野田武】