福岡県沖で炎上した海上自衛隊の掃海艇「うくしま」について、海自トップの斎藤聡海上幕僚長は10日夜に記者会見し、数度の爆発音があったと明らかにした。出火から10時間以上たった同日午後8時現在でも鎮火しておらず、このまま延焼が続けば沈没の可能性があるという。海自によると、これまで火災による艦艇の沈没例はない。
斎藤氏は会見の冒頭、「国民の皆様には大変ご心配をおかけしています」と述べた。監察官をトップとする事故調査委員会を設置し、出火原因などを調べることも明らかにした。
海自によると、うくしまは10日朝に下関基地を出港し、訓練中だった。同日午前9時40分ごろ、福岡県宗像市の大島から北2・3キロの地点で、船体後方のエンジンがある機械室から出火したとみられる。近くで訓練をしていた別の掃海艇「とよしま」などの消火活動によりいったんは鎮火したが、再燃した。
出火当時、当直勤務中で機械室にいたとみられる古賀辰徳3等海曹(33)が取り残されて安否不明となっており、別の20代乗員1人が煙を吸って県内の病院に運ばれた。海上保安庁によると、うくしまには38人が乗船し、残る36人はとよしまに移って避難したという。
斎藤氏は会見で「火災で甲板にも立っていられないくらいの熱風が発生して、煙も充満した。消火活動を継続できないと判断した」と話した。
うくしまは基準排水量510トンで全長約54メートル。機雷の除去に当たる掃海艇で、船の磁気に反応して爆発する機雷から船体を守るため、鉄ではなく木でできている。【松浦吉剛、島袋太輔】