11月11日といえば、江崎グリコの人気菓子にちなんだ「ポッキー&プリッツの日」が定着し、今年もSNS(ネット交流サービス)などで話題となった。記念日の認定やイベントなどを手がける日本記念日協会によると、2800種類以上あるとされる「○○記念日」の中でも、11月11日は記念日の数が365日の中で3番目に集中している。
発想は棒のようなかたちから
日本記念日協会の加瀬清志代表理事によると、11月11日は65種類の記念日がある。
「チンアナゴの日」は、砂の中からニョロニョロと体を出す姿が数字の「1」に似ていることにちなみ、東京スカイツリータウンの中にある「すみだ水族館」が制定した。
制定11周年の今年は「大チンアナゴ祭」と題して、チンアナゴの模型を乗せたみこしを子どもが担ぎ、館内を練り歩くなど多彩なイベントを実施。X(ツイッター)では、全国各地の水族館も愛らしいチンアナゴの写真・動画を投稿して、「1」が並んだ姿を祝った。
「ベースの日」は、楽器のエレキベースが主に4弦で、「1」が四つ並ぶ11月11日が弦のように見えることから決まった。音楽プロデューサーで人気ベーシストの亀田誠治氏が提案した。「串カツ田中の日」というのもある。食べ終わった串が4本並ぶ姿に見えるため、居酒屋チェーンの「串カツ田中」が制定した。
加瀬氏は「ナンバーワンという意味で『1』が好まれることもあるが、棒状のかたちから発想する事例も多い」と指摘する。
1番人気は「末広がり」
一番記念日が多いのは8月8日で、「パパの日」など71種類。末広がりで運勢が上向く「八」の縁起の良いイメージに加え、語呂合わせがしやすい。加瀬氏は「8月8日は○が四つにも見える。丸は優しいイメージで、企業の人たちから好まれやすい傾向がある」と話す。
2位は10月10日で68種類。ジュージュー焼く音から発想した「お好み焼の日」などがある。
「ポッキー&プリッツの日」は1999(平成11)年に制定されたが、今なおSNSではトレンドに入る。加瀬氏は「記念日にちなんで中高生がポッキーを食べるのが定番のようになる。記念日は企業がキャンペーンを継続しやすく、ビジネスチャンスを広げやすい」と話している。【安藤龍朗】