公立学校教員の業務縮減を条件として残業代を支払わない代わりに一律で上乗せされる「教職調整額」を段階的に引き上げるとする財務省案に対し、阿部俊子文部科学相は12日の閣議後記者会見で「教員定数を改善せずに業務縮減を条件とするのは乱暴な議論だ」と批判した。
財務省案は業務削減を条件とし、5年程度で調整額を現行の給料月額4%から10%に引き上げ、将来的には残業代支払いも検討するというもの。文科省は26年から13%への引き上げを検討する一方、残業代を支払う枠組みの導入には否定的で、主張が対立している。
阿部氏は財務省案について、業務縮減に必要な人員配置に後ろ向きだとして「教員定数の改善を行うことなく現場の努力のみで業務の縮減をしようとするもので、真に必要な教育が行われなくなる恐れがある」と指摘。残業代支払いについては「教員には専門職としての裁量が必要だが、残業代を支払うことになれば裁量が著しく低下する」と述べ、調整額を規定する教員給与特別措置法の枠組みを維持すべきだとの考えを示した。
財務省案との隔たりの大きさを問われると「引き続き、財政当局と丁寧に議論していく」と話した。業務縮減に向けては、自治体に対してそれぞれの残業時間を公表し、校長の人事評価で働き方改革への取り組み状況を重視するよう求めるという。
財務省案を巡り、現場の教員の間では「確実な業務削減が期待できる」との意見がある一方で「人が増えなければ意味がない」との声もあり、評価は二分されている。【斎藤文太郎】