石油、石炭など化石燃料の燃焼による今年の二酸化炭素(CO2)排出量は世界全体で374億トンで、2023年を0・8%上回り過去最高になるとの見通しを、国際研究チーム「グローバル・カーボン・プロジェクト」が13日、発表した。石炭や石油、天然ガスの使用による排出増が影響しているという。
チームが、アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に合わせて公表した。
チームによると、化石燃料の種類別では、石炭からの排出は23年比で0・2%増えた。石油からの排出は、主に国際航空・船舶からの排出増の影響で同0・9%増。天然ガスは同2・4%増える見通しだという。
国別では、世界最大の排出国・中国が同0・2%増。産業や家庭からの電力需要の伸びが続いていることが石炭からの排出増につながっているが、電気自動車(EV)の普及で石油からの排出は減少に転じた可能性がある。
排出量3位のインドは同4・6%増と予想される。再生可能エネルギーの導入は進むが、導入拡大のペースを電力需要の伸びが上回り、化石燃料の使用が増えているとみられる。世界2位の米国は同0・6%減の見通し。
一定の気温上昇に抑えるために許容されるCO2排出量の上限値は「カーボンバジェット(炭素予算)」と呼ばれる。化石燃料以外からの排出も含め、24年の排出のペースが今後も続けば、「世界の気温を産業革命前から1・5度上昇に抑える」という世界共通目標を50%の確率で実現するための炭素予算は2350億トンで、チームは「この排出状態が続けば、6年で炭素予算を使い果たす」と指摘している。【バクー山口智】