四国地方の天台宗の寺で、尼僧が長年にわたって性暴力を受けたとの訴えがあり、天台宗務庁(大津市)は11日、60代の同寺住職と80代の大僧正の男性2人について「懲戒審理が相当」として、宗内の懲戒事案の調査・審判を行う審理局に審理請求した。大僧正は宗内最高位の僧侶数人の1人で、懲戒審理の対象となるのは極めて異例という。
被害を訴えていたのは50代の尼僧、叡敦(えいちょう)さん。訴えによると、叡敦さんは2009年から住み込みで修行した寺で、住職から14年にわたって性暴力を受けたという。大僧正は叡敦さんの親族で、修行先として弟子である住職の寺を紹介したが、助けを求めても応じず、寺から逃げ出した際にも戻るよう指示するなど加害を助長したとしている。
叡敦さんは今年1月、被害を告白し、僧籍剥奪など2人の懲戒処分を求めて天台宗に懲戒審理を申し立てていた。宗務庁は寺への立ち入り調査をはじめ、関係者への聞き取り進めた結果、2人が懲戒審理相当と結論づけた。【澤木政輝】