国際自然保護連合(IUCN)は13日、世界の造礁サンゴの4割超が絶滅の危機に直面しているとの評価結果を公表した。アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で発表した。
IUCNのグレーテル・アギラル事務局長は「気候変動は造礁サンゴに対する最大の脅威であり、我々が依存している自然システムに壊滅的な打撃を与えている」とし、温室効果ガス排出削減の強化、加速を呼びかけた。
IUCNによると、暖水性造礁サンゴ892種を再評価した結果、44%が絶滅の危機にあることが分かった。前回2008年の評価時に絶滅危機にあったのは評価対象の約3分の1で、地球温暖化の加速でサンゴの生息状況はより悪化しているという。
サンゴは海水温の上昇による白化現象だけでなく、海洋汚染や漁業、沿岸の開発などの影響も受けている。温暖化に伴う海洋酸性化も脅威だ。
日本のサンゴでは、スギノキミドリイシなどが新たに絶滅危惧種と判定された。宮崎大の深見裕伸教授(サンゴ学)は「サンゴは豊かな漁業資源の供給源や天然の防波堤などの役割を果たしているが、大規模白化などで世界的に危機的状況にある。日本でも今年は九州以北の高緯度域にまで白化が拡大した。高温の影響が広がり、サンゴの危機的状況は今後も継続する可能性が高い」としている。【バクー山口智】