滋賀県警は13日、県内12警察署のうちの7署で、40年以上にわたり事件の証拠品3829点を放置していたと明らかにした。これらの証拠が関係する305事件で公訴時効が成立していたが、県警は「全て捜査した後に放置されていた」と説明。必要な手続きを怠っており、ずさんな証拠品の管理実態が浮き彫りになった。
雨漏りで発覚
県警刑事企画課によると、放置されていた証拠品は拳銃4丁や覚醒剤4点、刀剣類27点などの物品のほか、防犯カメラ映像のDVDといった関係資料も含まれている。事件の種別としては強盗や窃盗、覚醒剤取締法違反などがあり、殺人事件はないという。
彦根署内で2023年10月、雨漏りに伴って倉庫内を確認したところ、鍵がかかったキャビネット内で拳銃が見つかった。これが端緒となり、約1年かけて県内12警察署での点検や関係者計約70人への聞き取りなどを進めてきた。
この結果、署内の倉庫や車庫に放置されていたのは、彦根署2221点▽守山署887点▽高島署623点――など7署で計3829点に上ることが判明した。
このうち約4割となる1588点は関係する事件が特定できた。事件数としては323件で、公訴時効が成立していたのはほぼ全てとなる305件だった。古いもので1970年代の証拠品が確認された。
隠蔽は否定
県警は放置の理由として、各署の捜査が終わった後に検察庁に送付したり、関係者に還付したりする手続きを怠っていたと説明。「捜査に影響はない」と強調した。各署の課長クラスが1~2カ月に1回のペースで、専用の保管庫にある証拠品を目視して点検する内規があるが、保管庫以外にあったことから点検の対象外になっていた。
県警は「誰が置いたのか判然としない部分が多い」として個人への処分は実施しない方針。意図的な放置や隠蔽(いんぺい)については否定し、13日付で証拠品の管理徹底を各署に通達した。
竹谷均・刑事部長は「適正に管理されていなかったことは誠に遺憾であり、おわび申し上げる。職員に対する指導及び業務管理を徹底し、再発防止に努める」とのコメントを発表した。【飯塚りりん】