Infoseek 楽天

生活苦の子「学校楽しくない」 授業理解にも影響 支援団体調査

毎日新聞 2024年11月14日 9時0分

 生活が苦しい子は、学校が楽しくないと感じている――。そんな傾向が、困窮世帯の保護者や子ども約6000人を対象とした調査で明らかになった。子どもの貧困解消に取り組む支援団体は「困窮家庭の子どもは授業の理解度が低く、学校で居場所がなく無気力に陥っている」として政府に対策を求めている。

 公益財団法人「あすのば」(東京都)が13日のオンライン記者会見で公表した。調査は2023年11~12月、これまでにあすのばの入学支援金や給付金事業を受給した生活保護世帯や住民税非課税世帯などの計1万4845世帯を対象に実施。保護者4012人、子ども・若者1862人から有効回答を得た。保護者の世帯年収は平均178万円で、貯蓄50万円未満の家庭は74・1%に上った。

 小中学生への質問では「自分の生活を苦しいと感じたり、過去に感じたりした経験がある」と答えた子どもの割合が全体で81・9%。学校で楽しいと感じるかどうかを尋ねた質問で「全然楽しくない」と答えた子どもだと88・3%、「あまり楽しくない」では85・1%に上昇した。また、小学生では2割、中学生では4割が「授業がわからない」と答えていた。

 保護者への「困った時に頼れる人がいるか」との質問では、「いない」と回答した割合が全体で41・7%だったのに対し、世帯年収300万円以上では33・9%、200万~299万円では39・6%、0~199万円では45・2%となり、年収が低いほど「いない」割合が高かった。

 このほか、低年収の家庭ほど保護者の心理的なストレス指数が高く、「相談したくても、できるだけ役場には行きたくない」と感じたり、経済的理由で子どもが塾や誕生日の祝い事などを諦めたりした経験もより多かったという。あすのばは「世帯の収入が低いほど『関係性の貧困』や、子どもの『機会の貧困』の程度が高くなる傾向がある」と分析している。

 会見で、あすのばの小河光治代表理事は「一部自治体が実施しているひとり親の養育費立て替え支援制度や、児童扶養手当増額などを政府に求めたい。困窮家庭には授業が理解できない子どもが多く、そもそもの公教育の抜本的な見直しが求められる」と訴えた。【西本紗保美】

この記事の関連ニュース