古代~近代などの「お宝」を一般客が直接見て、業者を通じて入札に参加し購入することもできる「古典籍展観大入札会」の一般公開が15、16の両日、東京古書会館(東京都千代田区神田小川町)で開かれる。古文書や絵画、書簡や古地図など全国の古書業者が約2000点を出品する。歴史ファンにとっては、見るだけでも楽しめる機会だ。
国内最大級の古典籍オークションで、90年以上の歴史がある。博物館などではガラスケース越しに鑑賞するものが、入札会では手に取って見ることができる。国などの文化財指定を受けるような、貴重な品が出されることもある。
今回の目玉の一つは「明治天皇勅旨・別勅旨」だ。1871(明治4)年11月(旧暦)、明治新政府の岩倉具視や大久保利通、木戸孝允ら100人以上が欧米に向かった。出品物は明治天皇から岩倉に与えられたもので、使節団の使命の要旨などが記されている。大きな目的だった諸外国との不平等条約の改正交渉は、ほとんど相手にされなかったが、2年がかりで各国の国家制度や文化、産業などを視察した。近代日本最大級の国家プロジェクトのスタートを告げる史料といえ、興味深い。
江戸時代の浮世絵師、歌川広重が描いた色鮮やかな「名所江戸百景」シリーズも目を引く。浮世絵版画のできばえに大きな影響を与える彫り師と摺師(すりし)の技量を見比べるのも楽しい。
他にも、伊達政宗や細川忠興ら戦国武将の書状や、明治期の外交文書、来年のNHK大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)が版元となった本、古地図などと多彩だ。
17、18日に開かれる業者の入札会で、依頼を受けた古書店が客の希望価格で入札、最高値をつけた人の落札となる。入札価格などは会場で専門家が相談に応じるため、主催の東京古典会は「初めて参加される方でも安心」と呼びかけている。【栗原俊雄】