地域おこし協力隊員として、地域で不足するバス運転手の道を選んだ男性が美幌町にいる。札幌市から移住した広田剣さん(46)だ。町内で循環バスなどを運行する阿寒バス美幌営業所での勤務が決まり、大型2種免許もこれから取得予定だという。広田さんは「人の役に立つ仕事。町民が笑顔になれる運転手を目指したい」と話している。
美幌町によると、不足が深刻なバス運転手として地域おこし協力隊員を任命するのは全国でも例がないという。14日に地域おこし協力隊員の委嘱状交付式があり、平野浩司町長が「この事業への応募に感謝したい。資格を取り、地域のバスを運転していくために、しっかり支援したい」と激励。阿寒バスの香川真広社長からは制服と帽子が手渡された。阿寒バスの入社は21日の予定だ。
広田さんは津市の出身で、2014年に札幌市へ移住。転職先を探し、美幌町の地域おこし協力隊員募集を知った。オホーツク地方は旅行などで訪れたことがあり、「空気がよくて落ち着いた街並み」と好印象で、地域おこし協力隊員への応募を決めた。
バスの運転に必要な大型2種免許取得はまだだが、「まずは安全運転を心がけたい。地域のバスを運転することで恩返しがしたい」と抱負を述べ、「町外からのこのような事業への応募が続けばなと思う」と話した。
町は、24年度に公共交通運転手確保支援策として、地域おこし協力隊制度を活用した運転手確保を目指しており、さらに1人を募集している。【本多竹志】