新潟県と糸魚川市、日本国際博覧会協会は17日、大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日の計184日間)に、糸魚川で産出する県の石「ヒスイ」を展示すると発表した。万博会場のシンボルとなる巨大屋根「リング」のほぼ中心にある「静けさの森」に、巨大な二つのヒスイ(4.8トンと2.1トン)を置く。県は国内外の来場者に新潟の魅力を発信して誘客を図り、糸魚川などを起点にした県内観光の周遊ルート構築も目指す。【中津川甫】
世界各国の国王や大統領、首相らを迎える迎賓館にも五つ(150~500キロ)展示する。静けさの森と迎賓館での展示は全期間(6カ月)で、関西周辺の自治体を除くと、全期間で会場に展示する自治体は新潟が唯一だという。
協会側から静けさの森に置く庭石の募集があり、県がヒスイを提案し採用されたという。使用するヒスイは、所有者の兵庫県西宮市の笹川尚子さんが寄託する。
また県内の自治体は「食と暮らしの未来」をテーマにした催事(6月9~14日・EXPOメッセ)と、「県特産品などの企画展示」(7月11~17日・ギャラリーWEST)でもブースを設ける予定。EXPOメッセでは黄金の稲穂や白銀の雪景色をイメージした空間で、佐渡市なども加わり試食や体験を通じて新潟の食文化や観光資源、特産品を伝える。
ギャラリーWESTでは、季節外れの雪を持ち込んで雪国の新潟をアピール。映像と音響で新潟の花火大会にいるような体験を提供するほか、「泳ぐ宝石」や「平和の象徴」と呼ばれる特産のニシキゴイと盆栽をPRする空間も演出する。新潟、糸魚川、津南の3市町も出展し、来場者は本物の火焔(かえん)型土器を持って記念撮影などを体験できる。
記者会見で花角英世知事は「新潟県の名前と魅力をアピールする絶好の機会。会期後に新潟を訪れていただけるようにしたい」。糸魚川市の米田徹市長も「ヒスイは市民にとって唯一無二の宝物。万博で展示され、全世界に情報発信できるのはうれしい限り」と喜んだ。
県によると、コロナ禍前の県内の宿泊者数は、近畿圏以西の西日本が全体の6・1%にとどまり、東京都の26%などに比べて少ない。万博を契機に西日本から糸魚川までの誘客を図り、直江津から船で佐渡に渡り、新潟に抜ける観光周遊ルートの提案に今後力を入れていくという。