フィリピンを拠点にした特殊詐欺事件に関与したとして、警視庁捜査2課は19日にも、現地から強制送還される男性3人を窃盗容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。3人の中には、現地で元暴力団組員らが組織した「JPドラゴン」の幹部、小山智広容疑者(50)が含まれるという。
捜査関係者によると、小山容疑者らは、「ルフィ」を名乗る広域強盗事件の指示役らがフィリピンに拠点を置いていた特殊詐欺グループのメンバー。被害者に電話をかける「かけ子」などを担当していたとみられる。2019年に東京都内の50代女性にうその電話をかけ、キャッシュカードを盗み、現金約70万円を引き出したなどの疑いがある。
小山容疑者はその後、JPドラゴンに移り、組織のナンバー3になったとみられる。フィリピンの入管当局が今年1月、現地での詐欺事件に関与したとして身柄を拘束。警視庁は窃盗容疑で逮捕状を取っており、19日にも他の2容疑者と共に移送し、逮捕する方針。
小山容疑者は、ルフィグループの指示役の一人とされる今村磨人被告(40)=強盗致死罪などで起訴=が23年2月下旬以降、警視庁原宿署で弁護士と接見した際、テレビ電話を通じて会話したJPドラゴン幹部の一人だった可能性も浮上している。
この際、JPドラゴン側は、ルフィグループが関与したとされる特殊詐欺事件などについて「面倒を見るから話すな」などと今村被告に求めたとみられる。JPドラゴンでは今年9月にも、メンバーの男性(56)が、フィリピン拠点の特殊詐欺事件に絡む組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで大阪府警に逮捕されていた。
ルフィグループは18年11~12月ごろから、フィリピンを拠点に特殊詐欺事件に関与。その後、23年1月に東京都狛江市で高齢女性が死亡した強盗致死事件などの広域強盗を指示したとされる。警視庁はルフィグループとの接点を含め、JPドラゴンについて全容解明を進めている。【遠藤龍、木下翔太郎】