子どもたちに水揚げ量日本一を誇る魚コノシロのおいしさを知ってもらおうと、千葉県船橋市は市立の小中学校給食に取り入れる取り組みを始めた。コノシロは、白身でうまみが強いのが特徴だが、小骨が多くて食べづらく、養殖魚の飼料用に回されることが多い。船橋ならではの漁業資源の利用価値を高める狙いもあるという。
コノシロはニシン科の魚で、大きいものでは20センチ以上に成長する。船橋漁港の水揚げ量は、2022年が1217トンで、全国の約4割を占める。
東京湾で取れるコノシロは成長するに従ってシンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと名前を変える「出世魚」で、シンコやコハダは江戸前ずしのネタとして人気が高く、初夏のシンコの初物では1キロ当たり数万円の高値で取引される。しかし、成長につれて小骨が多く、加工にも手間が掛かると敬遠され、コノシロになると1キロ当たり数十円の安値となり、「逆出世魚」とも呼ばれる。
市教委によると、船橋市漁協と学校の栄養士が連携し、給食向けに子どもたちが食べやすいよう、コノシロをすり身にするなど試行錯誤を重ね、「さんが焼き」や「南蛮漬け」「竜田揚げ」などに加工した。給食での提供は10月から市立小学校7校で始まり、12月からは中学校3校でも始まるなど順次取り入れていくという。
同市湊町1の市立湊町小学校では、11月15日の給食に初めて、船橋産コノシロのすり身と豆腐を使った真砂揚げが登場した。
4年1組の教室では、児童たちが小判型に成形された真砂揚げをおいしそうに食べていた。同組の桜井直太朗さん(10)は「お肉みたいな食感だけど、お魚だから食べやすい。揚げてあるから外がカリッとして、(しょうゆやみりんなどで甘く味付けした)タレと合っておいしい」と話した。
同校の管理栄養士、栗原淳一さん(37)は「初めてコノシロを食べる子も多いので、臭みを感じないように、ネギやショウガを入れて揚げたほか、食感がいいようにタケノコも刻んで入れた。コノシロに慣れてくれば、身を使った揚げ物なども考えていきたい」と話していた。【石塚孝志】