力あふれる現代アート作品を集めた「アートプロジェクト高崎2024」(高崎アートインキュベーション推進会議主催)が群馬県高崎市の中心市街地で開かれている。毎日書道会審査会員の真下京子さんと、会友の木暮美紀さんが初めて出展したのをはじめ、県内外の約40人の作家が普段とは違う街並みを作り出している。12月1日まで。【増田勝彦】
「アートプロジェクト高崎」は「高崎を現代アートのまちとしてアピールしよう」と始まり、今年が10回目。真下さんの作品は、連雀町交差点にある「お茶の金子園」の外壁に展示されている。「こころのいま」「こころのまなざし(2)」の2点で、紙に墨で書いた前衛書を雨風に耐えられるようにプリントした。屋外展示は初めてという真下さんは、「ギャラリーとは違い、街の風景と相まって作品が立体的に感じられる。道行く人の影が入ることで、作品に動きも出る」と説明。さらに「書といえば漢字、かなを思い浮かべる人が多いが、墨と筆を使って違う世界を表現できる前衛書を知っていただける機会になれば」と期待を寄せる。
木暮さんは、藍紺紙に銀墨で書いた「混沌(こんとん)から生まれるものⅡ」のプリントが、高崎高島屋前のペデストリアンデッキに展示されている。「コロナ禍の混沌とした状況の中から、何か新しいものが生まれるのではないかとの思いで書いた」と話す。絵画は筆で塗るが、書は筆で書く、という。
他の作品も「表現のダイバーシティ 限りなく広がる多彩なアート」をテーマにバラエティーに富んでいる。
立体作品では、現代資本主義を「コメディー」と捉えて風刺的な作品を発表している三塚新司さんが、バルーン生地を使った巨大バナナの皮のオブジェを16、17日の2日間展示した。三塚さんは「私たちは『豊かさ』と『リスク』を交換して生きている。(目を引くような)『映える』姿をしていれば、踏んで転ぶ前にバナナの皮に気がつく」と、訪れる人たちに作品に込めた思いを語った。
このほか、渡辺おさむさんがスイーツデコレーションの技術をアートに取り入れた恐竜を展示。ともに高崎市生まれの松本勇馬さんが稲わらで作った巨大な象を、明田一久さんはユーモアあふれる石彫刻を披露するなど、秋の街並みに個性あふれる作品が彩りを添えている。