栃木県教育委員会は、不登校の児童・生徒が増加傾向にある中、欠席につながる要因などを探るため意識調査を行った。
県内の全公立学校の小6、中2、高2の約4万人(回答率72・8%)を対象に、今年7~8月にかけて学習用端末などで回答を求めた。不登校傾向にある子どもに限らず、全児童・生徒を対象にした調査は珍しい。
病気やケガ以外で学校を欠席したいと思ったことがあるかを尋ねたところ、小6は22・8%、中2は28・1%、高2は37・7%が「ある」または「ときどきある」と回答。そのうち実際に休んだのは、小6は全体の6・2%、中2は8・6%、高2は10・0%だった。
欠席したいと思ったきっかけ(複数回答)は、小中学生ともに「友だちとの人間関係」がいずれも4割弱で最も高かった。「欠席あり」と「欠席の意向はあるが欠席なし」の小中学生の回答で大きく異なったのは「体の不調」で、欠席ありの生徒は3割前後だったのに対し、そうでない生徒は1割台だった。
学校を欠席したいと思った時や欠席した時に、相談した人を尋ねたところ、小中高生とも家族が一番多かった。ただし、小6の36・2%、中2の45・1%、高2の48・4%は「誰にも相談しなかった」と回答した。
相談しなかった理由(複数回答)は、小中学生では「何をどのように話したらいいかわからなかった」「相談した相手に迷惑をかけると思った」「相談した時の相手の反応が不安」などがいずれも4割弱と高かった。「相談できる人がいない」も2割前後あった。
県教委はこの調査結果を基に、設置されている不登校に関する有識者会議で検討を重ね、「未然防止」「初期対応」「不登校児童・生徒への支援」の三つについて方向性をまとめるとしている。
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県教委は欠席の多い小中高校、特別支援学校の児童・生徒の保護者を対象に、支援ニーズを探る調査も実施した。
9月にウェブで実施し計2001人から回答を得た。うち1009人は欠席が1カ月以上だった。
子どもが学校を休むきっかけ(複数回答)を尋ねたところ、小学生は「先生との関係」が45・8%で最も高く、中学生は「学校やクラスの雰囲気」が42・5%で最も高かった。高校生は「体の不調」が41・7%で最も高かった。
学校内の教室以外の「別室」や市町の教育支援センター、民間のフリースクールなど施設の利用状況については、欠席1カ月以上の小中学生の約半数が市町の教育支援センターを利用する一方、高校生は教室以外の「別室」の利用率が2割弱で最も多かった。
これらの施設が「利用できることを知らなかった」割合も一定程度あった。スクールカウンセラーは小中学校では保護者の利用率が高かったが、高校は生徒のほうが高かった。
学校や先生に期待すること(複数回答)では小中高校とも、「全ての学校で別室に登校できるよう環境を整備してほしい」「出欠連絡の方法など児童生徒や保護者と相談しながら決めてほしい」「悩みをじっくり聞いて子どもの気持ちをわかってほしい」などの割合が高かった。【有田浩子】