子供の学習状況や生活実態を把握する目的で大分県が6~7月に実施した調査で、経済環境の厳しい家庭ほど、子供が授業で分からないことがあったり、大学進学に消極的だったりする傾向があることが分かった。学習や日常生活について尋ねた項目の多くで経済状況との関連性がみられたことから、県は今後、家庭の負担感を踏まえた支援策を検討するとしている。【李英浩】
調査は、小学5年と中学2年の計約2万人とその保護者を対象に5年ぶりに実施。結果分析では、過去1年間で公共料金の支払いや生活必需品の購入ができないなどの経験が複数回ある家庭を「困難世帯」と定義し、そうでない世帯と比べた。
授業で分からないことがあるかを尋ねたところ、「よくある」と答えた中2の生徒は非困難世帯で14・8%だったのに対し、困難世帯は21・9%に上った。学習支援サービスの利用状況でも非困難世帯の41・2%が学習塾に通っていると回答した一方、困難世帯は23・0%にとどまり、約20ポイントの開きがみられた。
家庭の経済環境は、本人や保護者の進路志向との関連もみられた。中2の生徒に将来の進学希望を尋ねたところ、非困難世帯では48・0%が「大学」を挙げた中、困難世帯は31・0%にとどまった。保護者に「子供にどの教育段階まで進んでほしいか」を尋ねた質問でも、回答には同じ傾向がみられた。
また、日常生活については、困難世帯の子供は朝食を食べる頻度を「毎日」と答えた割合が少なかった。ゲームで遊ぶ時間や、スマートフォンの使い方に関する約束事があるかについても「あてはまる」と答えた割合は非困難世帯が困難世帯を上回った。
いずれも回答の傾向は中2と小5で類似していた。県こども・家庭支援課は、塾や習い事に通えない理由に金銭面の負担を挙げる保護者が多かったことや、子育てについて経済的支援を求める声が高まっていることを挙げ、「結果をよく分析し、支援策のための予算などを検討したい」と話した。