将棋の加藤一二三・九段(84)がJAグループの月刊誌「家の光」で65年間にわたって詰め将棋を出題し続けたことが「同一雑誌におけるボードゲームパズル作者としての最長キャリア」としてギネス世界記録に認定され、21日に東京都内で認定証授与式が行われた。史上最年長勝利記録など、さまざまな記録を持つ加藤九段がついに世界記録を打ち立てた。
加藤九段は1954年、当時歴代最年少の14歳でデビュー。詰め将棋の連載は、名人戦順位戦で最上位クラスのA級入りした直後の59年、19歳の時にスタートした。2017年に史上最高齢の77歳で現役引退した後も連載は続いている。
記者会見で加藤九段は「認定を大変喜んでいる。20歳前後の頃に依頼が来て、元々詰め将棋を作るのが好きだったので引き受けた。これからも記録を更新していきたい」と満面の笑みを見せた。7手詰めや9手詰めを中心に出題し「目が覚めるようないい手を2手は入れるように」と工夫しているという。
会見では、宿敵の中原誠十六世名人(77)に挑み、千日手や持将棋による引き分け3局を挟んで“十番勝負”になった82年の第40期名人戦七番勝負に触れる場面も。「詰みの決め手に中原名人も私も最初は気付かなかったが、詰め将棋で終盤力を磨いたおかげで発見できた」と、詰め将棋が悲願の名人獲得に役立ったというエピソードを披露した。
加藤九段は19年に連載60周年を迎えた際、SNS(ネット交流サービス)に「ギネス級記録ではないかと密(ひそ)かに誇りに思っております」と投稿していた。【丸山進】