別居している親がもし特殊詐欺に遭ったら――。こうした不安を感じる人が半数以上に上る一方、何も対策をしていない人が約3割いることが、警備大手のセコムによる調査で判明した。「闇バイト」を通じた強盗や特殊詐欺の被害が社会問題化しているだけに、別居する子どもが対策をサポートすることも重要そうだ。
調査は10月、父親または母親と別居している30歳以上、70歳未満の男女560人にインターネットで実施した。親が特殊詐欺の被害に遭う不安を「感じている」人は全体の18%、「どちらかといえば感じている」は38%で、合わせて半数を超えた。
実際に被害に遭った経験の有無を聞くと、「ある」は3・2%にとどまったが、「被害に遭ったことはないが、特殊詐欺と思われる電話に出たことがある」は35・9%に上った。特殊詐欺が身近に迫っている現状がうかがえる。
ところが、親が被害に遭わないための対策については「していない」が最多の32%。「分からない」も17・5%いた。対策をしない人の理由(複数回答)は「どのような対策をすればよいか分からない」が42・5%で最も多く、「今まで被害に遭う危険を感じたことがない」30・2%、「親が自分は大丈夫だと思っている」29・1%などが続いた。
セコムの担当者は「電話中に同居の家族がいれば詐欺に気付ける可能性があるが、親が1人暮らしの場合はより慎重な対応が求められる」と指摘。「親への連絡や帰省の頻度を増やして変わったことがないか把握することで、被害に遭わないよう備えてほしい」としている。【井口彩】