キャッシュレスで買い物をする人が増えて、「デジタル領収書」まで普及してきました。アナログ派にはなんとも不愉快なご時世です。このコーナーは意地でも世の流れとは逆方向に向かいましょう。高額で高性能なデジタル対応レンズなんか見向きもせず、今回は何とレンズなしで撮影するのです。【中村琢磨】
昔、夏休みの自由研究や工作として人気だった時代もあったかな? レンズではなく針穴を通った光で撮像するピンホールカメラです。工作好きで器用な方は、丸ごと自作も朝飯前でしょうが、ここでは簡単に楽しめる方法を選びました。カメラのボディーキャップを利用するのです。
私は意固地にフィルムカメラを使いますが、レンズ交換できるデジタルカメラにも応用可能です。ピンホールの作り方は写真で解説しているので、「良い子」の皆さんにも教えてあげてね。きっと若い感性が、チャレンジングでユニークな作品を産み出してくれることでしょう。
穴が小さいほど、写真はシャープになるけれど、露光時間がとてつもなく長くなります。今回は、ISO400のモノクロフィルムで、数秒(晴天時)から数分(夜)の露光時間でした。まあ、ご自身で試してください。「妥協」がいかに大切か、痛感しますよ。
1枚だけ見ると、「何だ、この締まりがないモヤーッとした写真は!」とばかにされそうですが、ある程度の枚数がそろうと、不思議に魅力を増します。見慣れた風景も、新鮮に思えますよ。
撮影機材
Nikon FM2を使いました。どこかで見た記憶のある方も、いらっしゃるかと思います。そう、このカメラに“インスパイア”されたニコンのデジタルカメラ、DfやZf、Zfcは、何となく形状が似ていますよね。