北海道猟友会は25日、市町村の要請に協力して市街地に現れたヒグマを猟銃で駆除する場合、自治体や警察と十分に協議するように注意喚起する通知を71支部に出すことを決めた。発砲後に違法性を問われないように、特に道警に判断を仰ぐことを念頭に置いている。協力関係が築けない場合、支部が要請を拒否することに理解を示す内容も盛り込む。
猟銃による駆除を巡っては、砂川市の要請でヒグマを撃った道猟友会砂川支部長の男性が2019年、「危険な発砲だった」という理由で道公安委員会に猟銃所持の許可を取り消された。男性は係争中で、10月の札幌高裁判決は男性の訴えを認めた1審・札幌地裁判決を取り消し、請求を棄却した。
また、環境省が市街地での猟銃使用を条件付きで緩和する鳥獣保護管理法の改正作業を進めている。
こうした状況の中、道内のハンターの間で、市町村の駆除要請に協力した際、ハンター個人が違法性を問われる事態を懸念する声が広がっている。このため、道猟友会は25日、正副会長らによる三役会を開き、各支部に対し、自治体や警察と今まで以上に協議を重ね、トラブルを事前に回避するように求めることにした。
一方、複数の支部がすでに駆除要請の協力に難色を示しているため、道猟友会は支部の判断を尊重する姿勢も示す。
道猟友会の堀江篤会長は「(ハンターに)『自分たちを守ることも考えてください』という趣旨。正義感で出動し、万が一、間違って銃がなくなったり、処罰されたりすることがあれば大変だ。そこを考えた上で出動してほしい」と述べた。【石川勝義】