フランスなどが主導する国際タスクフォースは、ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)に課税することで、年52億ドル(約8000億円)の気候変動対策資金が創出できる、との報告書を公表した。仮想通貨は「マイニング(採掘)」と呼ばれる作業に大量の電力を使うため、消費電力に応じて課税することで、省エネ効果も期待できるという。
タスクフォースは、昨年に開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、フランス、カリブ海の島国バルバドス、ケニアが気候変動対策資金を確保する策を示すために作った。国際通貨基金(IMF)などの支援を受けて、今年のCOP29で報告書を公表した。
報告書によると、採掘の電力使用量1キロワット時当たり0・045ドルを課税すれば、年52億ドルの税収が見込まれ、さらに二酸化炭素(CO2)量も約45%削減できると試算した。
採掘は巨大なコンピューター・ネットワークを使うため世界の電力消費量を押し上げており、問題になっている。報告書によると、ビットコインを1件扱うための電力は、平均的なドイツ人の3カ月分に匹敵するという。
国連大学が2023年にまとめた報告によると、世界のビットコイン採掘で20~21年にかけ、173・42テラワット時の電力を消費し、85・89メガトン超のCO2を排出したと見積もった。国として換算すれば、世界27位の電力消費量となるほどだという。
この案は、仮想通貨の消費電力に対する課税だが、取引量に対して課税する場合には、年数百億ドルの税収が見込めるとした。ただ、取引の匿名性が課税の課題だとも指摘している。【渡辺諒】