大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)から性的関係を強いられたとして、府内の女性が約2280万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが、女性の代理人弁護士への取材で明らかになった。訴訟は14日付で和解が成立。永野氏が謝罪し、解決金500万円を支払う内容で合意したという。
大阪府岸和田市の永野耕平市長は28日、同市内で毎日新聞などの取材に応じ、「性加害はなかった」との主張を重ねた。訴訟となったことについて、「個人的なことであり、解決している」としたうえで、「裁判(になったこと)はとても残念で、騒ぎになって申し訳ない」と述べた。
また、自身の進退について問われると、「悪いことをしたわけでなく、考えていない」と市長職を続ける意向を示した。
永野氏が所属する大阪維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は、報道陣に「事実関係を把握できていないが、完全なプライベートでもないと思う。綱紀委員会を立ち上げて本人から事情を聴き、党として判断したい」と述べた。
市役所では驚きと戸惑いが広がった。ある職員は「びっくりした。事実関係がわからない」と困惑気味だった。市議会は28日、永野氏に対し、全員協議会に出席して説明するよう文書で要請した。烏野隆生議長によると、市民から「市長がこんなことではいけない」などの声が寄せられたという。烏野議長は取材に「おしかりの意見があった。きちんと説明すべきだ」と話し、田中市子副議長も「報道を見て気分が悪くなる女性もいるのではないか。このままでは(12月9日開会の)議会を開けない」と述べた。
永野氏は社会福祉法人役員や児童養護施設の副園長などを歴任。維新府議から2018年の市長選に同党公認で立候補して初当選し、現在2期目。
子だくさんでも知られ、22年市長選の際のインタビューでは「好きな家事は洗い物や洗濯。でも、食器をきれいに片付けたり、服を子どもごとに分けて整理したりするのが苦手で今、頑張ってやっている」などと話していた。
また、福祉現場で働いた経験から「目が悪い人がいれば字を大きくする。すると、目が良い人も見やすくなる。その人の弱みがみんなの強みになる」と、チームワークの大切さを強調。
好きな言葉に「ありがとう」を挙げ、「感謝の気持ちを持ってやっていくのが一番大事。つらいことがあっても、感謝をしていけば、自分の人生を豊かにする」などと語っていた。【中村宰和、東久保逸夫】
永野耕平市長と記者のやりとり
Q 訴訟について確認したい。
A 訴訟そのものはあったし、解決している。内容についてはコメントできないが、僕が性加害をやったと、そういうことは絶対にない。それは否定させてもらいます。
Q 女性に謝罪し、解決金500万円を支払う内容で合意したのか。
A 裁判で和解内容は秘匿することになっているので、僕からは話せない。僕が加害したことは絶対にないし、悪いことをしたというのは絶対にない。間違いなくそういうことです。
Q 訴訟になったことについてどう思っているのか。
A 裁判になったことは、すごく残念ですね。
Q 騒ぎになっている。
A 騒ぎになって申し訳ない。
Q 市長の進退はどう考えているのか。
A 何か悪いことをしたわけではないので、そんなことは考えていません。
Q 市長を続けるのか。
A もちろんそうです。
Q 自身に非はないと。
A 全く非はないです。
Q 大阪維新の会とやり取りは。
A 維新としてというか、個人的な対応をしているので、政党は関係ないと思います。
Q 議会には説明したのか。
A 個人的なことですので。議会から問い合わせがあればお話ししますが、内容はもちろんお話しできない。