平和や人権擁護などの分野で優れた報道をした個人や団体を顕彰する「第30回平和・協同ジャーナリスト基金賞」が29日発表され、奨励賞に毎日新聞社会部大阪グループの宇城昇記者による核兵器廃絶運動に関する一連の報道と、毎日新聞熊谷支局の隈元浩彦記者による関東大震災・朝鮮人虐殺を巡る一連の報道など7点が選ばれた。贈呈式は12月7日に東京都内で開かれる。大賞は、信濃毎日新聞社報道部取材班の連載「鍬(くわ)を握る 満蒙開拓からの問い」だった。
宇城記者は広島市生まれ。1994年に入社後、原爆報道に取り組み、広島支局で記者、次長、支局長を務めた。現在は専門記者として、日本原水爆被害者団体協議会へのノーベル平和賞授与決定の取材などに携わる。2006年秋に始まった毎日新聞の長期連載「ヒバクシャ」を含め、長年にわたり被爆者の声を伝えてきたことが評価された。
隈元記者は関東大震災から100年を翌年に控えた22年秋、震災の混乱下の埼玉県内で起きた朝鮮人虐殺事件をテーマに取材を開始。未発見の追悼碑の存在や、当時の熊谷測候所長の日誌に事件の記述があることを特報するなど、丹念な取材を基に埼玉県版や毎日新聞のニュースサイトのコラム「24色のペン」などで繰り返し報じたことが評価された。