恋愛感情をくすぐり、徐々に店への売掛金(ツケ)を膨らませ、女性を「ホスト沼」にはめていく。
だが、そのホストクラブには、こうした段取りさえなかった。
大阪で今秋、初来店の客が多額の借金を背負わされる新たな手口が確認された。被害に遭った女性は酒に酔わされ、ホテルに閉じ込められた後、複数の消費者金融で高額なホスト代を工面させられていたとされる。
警察の捜査で、この店の関係者のパソコンからあるファイルが見つかった。捜査員が内容を調べると、女性が被害に遭った状況とうり二つの手口が詳細に書かれていた。
店で働くホストに対するマニュアルで、ホストに関する知識が少ない女性をターゲットに多額の金銭を得る目的で作成されたとみられる。警察に駆け込んだ女性も初めてのホストクラブで、100万円を超す借金を背負わされる羽目になった。
ファイルの名は「一撃講習」。捜査員の一人は「女性の純粋な気持ちにつけ込んだ行為だ」と怒りを隠さない。悪質ホストクラブによる被害は深刻化しており、関連法の改正や当事者への講習などで歯止めをかけようとする動きが広がっている。【面川美栄】