2日に現行の健康保険証が廃止(新規発行停止)される。マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」が後継となるが、群馬県保険医協会(前橋市)が県内の医師や歯科医に調査した結果、8割近くがトラブルがあったと回答。8割超が紙の保険証の存続を求めた。【田所柳子】
マイナ保険証、2日に移行
アンケートは4回目で、9月1~30日、今年5月以降のトラブルについて保険医1002人に調査。66人(機関)が回答した。トラブルがあったのは77・3%で、複数回答で「カードリーダーの接続不良・認証エラー」「(旧字が)●で出る」「資格情報が無効」などのトラブルが多かった。
具体的には「住所が群馬県なのに北海道になっていた」「外国人や自衛官(などの個人情報)が確認できない」「駐車場の車内で行う発熱外来の場合、屋外でカードリーダーが使えない」などの声があった。高齢の患者で顔認証ができず、暗証番号を忘れて使えなかったケースもあった。
同協会は調査結果について11月20日に記者会見。同席した県内の薬局関係者は「9月に桐生市で落雷による停電が発生した際、電話とインターネット回線が長期間使えなくなり、職員の私用のスマホでインターネットにつなぎ、マイナ保険証の資格確認をせざるを得なかった」と話した。
紙の保険証の廃止について、「残すべき」が81・8%、「延期すべき」が10・6%、「延期し残すべき」が4・5%、「賛成」が3%。協会担当者の医師は「いつでもどこでも誰でも医療を受けられる制度を維持すべきで、紙の保険証を残せばトラブルや医療現場・患者の不安が解消される」と話している。
さらに、県民主医療機関連合会も20日、県内の35市町村の意向調査の結果を公表。21市町村が紙の保険証の存続を「希望しない」と答えた一方、8市町村は「希望する」と回答した。6市町村が「どちらとも言えない」や「未回答」などだった。
意見では「自治体が契約するマイナンバー関連の技術者の日当が1日約6万円でシステム会社への委託料もかかって高い」「マイナポイントをもらうため郡部の少ないセブンイレブンにナナコカード取得に殺到し、店側から『仕事にならない』と苦情を受けた」などの声もあったという。