第28回司馬遼太郎賞(司馬遼太郎記念財団主催)の選考会が2日、東京都内で開かれ、麻田雅文・岩手大准教授(44)の「日ソ戦争 帝国日本最後の戦い」(中公新書)に決まった。
麻田さんの専攻は近現代の日中露関係史。研究の道を選んだきっかけは中学生の終わりか高校生の初め、司馬の代表作の一つで日露戦争を描いた「坂の上の雲」を読んだことだという。「司馬先生の名前を冠した賞を頂いたのは感無量です」とし、「日ソ戦争に光が当たり犠牲になられた方々、語られなかった人たちに光が当たるのがうれしい」などと喜びを語った。
選考会では「歴史の重要な局面を、ロシア公文書館保管の新史料により丁寧に調べ解き明かしている。ウクライナ戦争が起きている今、日本の歴史にとっても関係が深いロシア、ソ連を理解する上でも必読の書」などと評価された。賞金は100万円。贈賞式は来年2月11日、東大阪市文化創造館で開かれる「菜の花忌シンポジウム」で。【栗原俊雄】