ノルウェー・オスロで開かれるノーベル平和賞の授賞式に参加する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2日、東京都内で記者会見を開いた。10日の授賞式で演説する田中熙巳代表委員(92)は「核兵器がどういうものか伝え、大きな運動が起こるきっかけになれば」と意気込んだ。
会見には首都圏在住の役員5人が出席し、演説内容などについて説明した。演説は約20分間で、日本被団協の歴史や田中さんの被爆体験を盛り込む。若い世代に期待することについても触れるという。田中さんが草稿を作り、役員らと協力して1カ月あまりで完成させた。
田中さんは執筆の過程について「寝ても覚めても考えて、夢にも出てきた」と明かし、「歴史を詳しく書こうとしたときに運動の先頭に立ってきた仲間がいないのはすごく残念。相談する人がいなくて寂しく悔しい思いをした」と話した。
児玉三智子事務局次長(86)は「その日に命を奪われた人がたくさんいる。世界に向かって被爆者がどんな思いで今まで生きていたか、亡くなった人たちの思いと共に伝えたい。若い人たちに原爆被害や戦争について継承するのが使命だと思っている」と力を込めた。【椋田佳代】