モンゴル帝国(元)が九州北部に襲来した元寇の「文永の役」(1274年)から、今年で750年になることを記念したシンポジウムが11月30日、福岡市西区で開かれた。約500人が専門家らの話に耳を傾けた。
元寇は福岡市の防塁など多くの戦跡が残る。長崎県松浦市の鷹島沖の海底遺跡では今年、3隻目の元寇船が確認されるなど現在も調査が続けられている。シンポジウムは元寇の歴史的背景から現代への影響などをテーマに開かれた。
前半は服部英雄・九州大名誉教授が、元が攻めてきた理由や日本の戦法などを講演。よく知られる、「敵を前にして長く名乗るのは江戸時代の講談師が作ったもの。実際は敵を倒した時に名乗る」と一部は作られた合戦像であることを紹介した。
後半は元寇に詳しい専門家や漫画家ら6人によるパネルディスカッションがあった。日本侵略の足がかりに太宰府が標的とされ福岡が狙われたことや、発掘調査から防塁は地域ごとに違いがあることなどが論じられた。
対馬での戦いを描いた漫画「アンゴルモア 元寇合戦記」の作者、たかぎ七彦さんは、剣道の経験や海外のデモの映像などを戦いの描写に生かしていると明かした。元寇をテーマに伝えたいことを聞かれると、「今と違って戦争でも人間と人間が近く、一種の異文化交流だと思う。当時と今の違いや共感できるところなどを楽しんでもらえるよう描いていきたい」と語った。【田崎春菜】