今年のふるさと納税の期限を前に、ふるさと納税を通じた寄付で被災地支援を呼びかけるイベントが3日、東京都渋谷区の複合施設「渋谷ストリーム」前の稲荷橋広場で始まった。石川県内など21の自治体から集めたふるさと納税の返礼品約30品を販売。一部はキッチンカーでも販売し、その場で味わうこともできる。
イベントは、ふるさと納税サイト「さとふる」を運営するさとふる(東京都中央区)が企画した。
能登半島地震で被災した石川県能登町や七尾市、台風10号で被災した鹿児島県指宿市などの返礼品を200~1600円で販売する。商品にはそれぞれ、被災状況の説明や寄付ができるQRコードが書かれたパネルが設置された。
会場で食品を購入した公務員の60代男性は「ふるさと納税の寄付を通して被災地支援ができるよい仕組み。食べてみて寄付を検討したい」と話した。
能登半島地震で、工場が大規模半壊する被害を受けた水産加工会社のすぎ省水産(石川県七尾市)の会長、杉原省(しょう)さんはイベントに商品を提供した一人。工場の復旧まで数年を要するなど先行きが不透明な中、全国から集まったふるさと納税の寄付金に支えられたという。
杉原さんは「寄付を寄せてくれた人たちへの感謝の気持ちでいっぱい。商品開発にチャレンジする意欲にもつながっている」といい、「少しでも一歩でも前を向いて頑張っていきたい。よかったら能登にも足を運んでほしい」と話した。
さとふるによると、能登半島地震が発生した直後の1月、石川県への寄付金額は前年同月比で46倍超に拡大したが、時間の経過とともに寄付は徐々に減っているという。担当者は「被災地支援のためには、商品を販売して事業を継続するなど経済を回していくサイクルが必要」といい、「ふるさと納税の選択肢の一つに、被災地の品を加えていただければ」と呼びかけた。
イベントは5日まで、午前11時~午後7時(最終日は午後6時まで)に開催される。【嶋田夕子】