神奈川県弁護士会(岩田武司会長)は1日、藤沢市で日弁連地域司法キャラバン講演会「三淵嘉子と家庭裁判所」を開いた。毎日新聞の本橋由紀記者が講演し「裁判所は生活に関わる問題を扱っている。市民がもっと関心を持つことが大切だ」と話した。
嘉子は9月に完結したNHK連続テレビ小説「虎に翼」の主人公のモデル。戦前に日本で初めて弁護士になり、戦後は裁判官に転身して女性法曹をリードした。1972年には女性初の家裁所長を新潟で務め、横浜で定年退官を迎えた。
本橋記者にとって、嘉子は大伯母にあたる。本橋記者は嘉子を「もてる女」と評した。本人が恵まれたと語る男運、頭脳明晰(めいせき)、体力、努力する才能などの能力を最大限に生かして「家裁で多くの少年を更生に導いた」と紹介した。国民に愛される裁判所になるためには、「市民が、裁判所が裁く問題を自分ごとと考えることが重要」と強調した。
県弁護士会は、身近な司法を目指し、藤沢簡易裁判所に家裁出張所の併設を最高裁や財務省に求める運動を行っている。23年1月には、藤沢簡裁管轄下の5市1町(綾瀬市、海老名市、茅ケ崎市、藤沢市、大和市、寒川町)などと出張所併設を求める会を発足させている。
藤沢簡裁管轄エリアの離婚や相続、成年後見などの問題は横浜家裁で扱われているが、横浜家裁の扱う家裁事件数は近年急増している。