10代の不登校児童・生徒を対象とした「訪問看護ステーションHullはる」が和歌山県印南町に誕生した。県内初の試みで、紀南地域を中心に専門研修を受けた看護師らが当事者の自宅などを直接訪問。親や教師とは違う「斜め」からのアプローチで子どもたちに寄り添っている。
一般社団法人「ギフテッド・クリエーティブ」(田辺市)が5月に開設。法人の代表理事を務める峯上良平さん(35)の妻晴菜さん(29)ら6人の看護師や准看護師が週に1~3回、家庭訪問して体調管理やメンタルケアに当たっている。
「不登校は誰にでも起きうること」。そう話す良平さんにも過去、生きづらさを感じた時期がある。情報関連の会社に勤務し、慣れないコンピューター言語の習得やパソコンに向かい続けるストレスからうつ病を患った。晴菜さんも学生時代熱中したボランティア活動と、看護師の国家試験などの勉強との両立でストレスを抱えたことがあった。
そうした経験から、良平さんは「まず子どもたちに寄り添い、言葉に耳を傾ける。打ち解けると話の中から原因が浮かび上がってくる」と説明。晴菜さんは「その子にあった学びにつなげる計画を立てることが重要。親子は横、教師と子どもは縦の関係。我々は『斜め』の視点で、感情的にならずに客観的なアプローチをしている」と話す。
不登校の子どもはコミュニケーションが苦手なことが多く、体温や血圧を測らせてもらうことが第1段階という。徐々に会話し、ストレスや外出できない理由を明らかにし、転校や通信制の学校での学習などの選択肢も提示。どうしたら一歩前に進めるかを焦らずに探っていく。
良平さんは「訪問や相談の内容は精神科医や関係機関と共有し、より精度の高いサービスを提供したい」と意気込んでいる。
営業時間は毎週月~木曜の午前8時半~午後5時半。申し込みや問い合わせは同ステーションのホームページから。【大澤孝二】