同性同士の婚姻を認めていない現行制度は憲法違反かが争われている同性婚訴訟で、福岡高裁が13日、控訴審判決を言い渡す。全国の同性カップルが国に損害賠償を求めた同種訴訟は2019年2月以降、札幌、東京、大阪、名古屋、福岡の全国5地裁に6件起こされ、高裁判決は3件目だ。
地裁の憲法判断は「違憲」が2件▽「違憲状態」が3件▽「合憲」が1件――と分かれた。控訴審では24年3月の札幌高裁判決と24年10月の東京高裁判決が連続で「違憲」判断を示しており、福岡高裁でも性的少数者の権利擁護を重視した司法判断となるのか注目される。
争点は、同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が①法の下の平等を定めた憲法14条1項②婚姻の自由を保障する同24条1項③個人の尊厳と両性の平等に立脚した家族法の制定を求める同24条2項――に反し、不当な差別といえるかどうかだ。
特に注目されているのが②の24条1項を巡る判断だ。同項には「両性」「夫婦」という文言がある。そのため「異性間の婚姻」を前提とすると解され、24条1項に限っては5地裁全てが「合憲」としていた。
そこに風穴を開けたのが、初の控訴審判決として言い渡された札幌高裁判決だった。
判決は「文言のみにとらわれる理由はない」とした上で、婚姻の自由を保障する憲法24条1項は「人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻も含み、同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障していると考えるのが相当」と指摘。同性カップルにも適用されると踏み込み、現行制度は①~③の全てに反していると結論付けた。
一方、2件目の東京高裁判決は①と③に違反しているとしたが、24条1項については判断しなかった。【志村一也】