和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社で11日、新年への願いを託した一文字揮毫(きごう)があり、九鬼家隆宮司が「思(おもい)」と一気に書き上げた。年末の恒例行事で17回目。書は1年間、境内に掲げられる。
本殿前で、約3メートル四方の白い布に、墨を含ませた長さ1・3メートルの大筆を滑らせた。最後の点を打つと、参拝者らから拍手が起こった。
九鬼宮司は「今年は世界各地で戦争・紛争が続き、苦難の1年だった。家族や友人だけでなく、人が人を思う気持ちが世の中に広がれば、きっと平和は訪れる」と述べた。
田辺市学園の前尾都美子さん(72)は「揮毫した字を拝見して家族のことを思った。元気な1年を過ごせたらいいですね」と笑顔だった。【大澤孝二】