医療費が高額になった時に患者負担を抑える「高額療養費制度」で、70歳以上の外来特例を見直した厚生労働省の試算が判明した。高所得者以外の70歳以上には、外来にかかる自己負担額に上限を設ける外来特例がある。この特例の自己負担限度額を2000円引き上げたり、廃止したりすると、加入者1人当たりの年間保険料は200~2000円下がる見込み。厚労省は今回の試算を参考に外来特例の見直しに着手する。
現在、外来特例は年収370万円までの人で月1万8000円、住民税非課税の人で月8000円の自己負担限度額が設定されている。両方とも廃止すると、給付費は3400億円削減され、1人当たりの年間保険料は700~2000円減る。さらに、廃止せずに自己負担限度額をそれぞれ2000円上げると、給付費で500億円の削減効果が見込め、1人当たりの年間保険料は200~600円軽減される。
厚労省は外来特例以外も含め高額療養費制度を全体的に見直す方針だ。ただ、外来特例を廃止すると低所得者を中心に高齢者の受診控えを招くとの懸念もある。このため、今回の試算を踏まえ、自己負担限度額の引き上げを中心に検討し、年末までに結論を出す見込み。【阿部絢美】