熊本県は南海トラフ巨大地震などを想定した県内への津波の到達予想時刻と津波の高さを初めて公表した。最も到達時間が早い地点では布田川・日奈久断層帯を震源とするケースで9分(波高39センチ)などと予想。県は「地震や津波への備えを再確認するきっかけにして」と呼びかける。
能登半島地震や、8月の日向灘地震で初めて出された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を受け、約380万円をかけて調査した。
熊本県に影響を与えるとされる①雲仙断層群②布田川・日奈久断層帯③南海トラフ巨大地震の3パターンを震源域と想定して、これをもとに予想される津波の高さや時間をシミュレーションした。
最も津波が高くなるのは、マグニチュード(M)9・1規模の南海トラフ巨大地震が起きた場合。天草市(八代海側)で高さ1・64メートルとして、到達予想時間は5時間40分後だった。また、20センチを超える津波の到達が最も早いのは、布田川・日奈久断層帯でM7・9規模の地震が発生するケース。上天草市(八代海側)の海岸で到達予想は9分後だった。
結果は県のホームページで公表。県は「あくまで代表地点で算出したものであり、津波の到達よりも浸水の方が早い可能性もある」として「津波情報が発表されたら一刻も早く避難を」と呼びかけている。【山口桂子】